2007年06月20日

トヨタがCMをやめない理由とか雑考

ある女の子が、意中の男の子に告白するときに、
みんなの前でするべきか、体育館の裏で一対一でするべきか。
状況によってとるべき戦略は異なるような気がする。

両思いだったらどっちでもいいような気がするけれど、
相手の男の子が恥ずかしがり屋だったら体育館の裏だろうか。
逆に、牽制したいライバルがいるなら、あえてみんなの前でして
既成事実を作ってしまったほうがいいのかも。

男の子が優柔不断だった場合、周りの男の子(女の子)の力を
借りたいから、みんなの前で告白して追い詰めてく感じでもよいか。
その男の子が、強い意志を持っていて、プライドが高かったら、
周りの影響を嫌がるから、直接一対一のほうがいいだろう。

なんてなんて。中高生でもないのにそんな議論をしてもしょうがない。

トヨタがなぜ今でもTVCMの絨毯爆撃をしているのか考えてたのだが、
そこにはやはりある程度の合理性があるのだろうなと思う。

TVCMをはじめとしたマス広告には不思議な合意形成能力があって、
ターゲット以外のところに作用する力も結構大きい。

たとえばクルマなら、愛する子供と奥さんの意見も聞くだろうし、
そのとき彼ら(彼女ら)の意見だってとても重要になる。
(※彼らがクルマに詳しいかどうかはあまり重要ではない)
そんなときに、クルマに興味のない彼らはどこから情報を得るか。

また、数年に1回程度のクルマ購買時期だけに勝負をかけるのは
リスキーで、可能な限り事前に意志を決めておいてもらいたい。
買う頃には、なんとなく決めておいてもらえると都合がいい。
できれば、子供の頃から好意的になってもらえていると助かる。

買うほうの身としても、買った商品がどうでもいいものだとは
思いたくないから、世間で受け入れられてる(ように見える)商品は
都合がいい。この辺はリピート欲につながる可能性もある。

加えて、特にセールスマンがいたり、棚を奪い合うような業種では、
「TVCMを大量投下する」という行為そのものがひとつの指標になって
セールスマンにハッパをかけたり、棚を確保する力になったりする。

最近ではだいぶ弱まったが、セールスマンとお客さんの間で
「CMでやってるアレ」的な、話の肴みたいな効果も多少はある。

BtoB的な業種であっても、社内に連絡を回すよりも
世の中に「こうしまーす!」みたいなマス広告を出してしまうほうが
結果として強制力がついたりすることもある。
(新聞15段宣言広告とか、お詫び広告とか、そういうもの)
いわゆる目標宣言型Lifehackの超巨大版とでもいおうか。

TVCMが「本当にいらない」業種というのはなかなか少なくて、
一部の本とか音楽とかを除けば、極度に趣味性が高く、かつ個人だけで
判断して買うもので、セールスマンにハッパをかける必要もなく、
消費者側が合理的に選ぶ商品は少ない。

Webから広がった、新しい広告手法が盛り上がっているおかげで
かえってマス広告は相対化されて、こういう見直しが起こると思われる。

でも最近、マス広告に中途半端にマーケティング思考が注入され、
具体的なことをそのまま、相手を絞って伝えれば最高に効率的だみたいな
チラシと見まごうような考え方が広まってきたのではないかと思う。
購買ストーリーを一本の線で決めてかかる戦略とか。ちょっと微妙。
言ってみれば、みんなの前で告白するときに、一対一で告白するときの
考え方をそのまま持ち込もうというのである。
せっかくみんなの前に出て行って、周りを見ないというのもどうかと。

そういうTVCMのゾンビ化みたいなことが、むしろ今心配である。

やはりみんなの前で告白するなら、周りのライバルに牽制したり、
同姓の味方を増やしたり、相手の友達を仲間にしてしまったりとか
そういう戦略性をあまり捨てないほうがいいとは思う。

いや、でも、docomo2.0を擁護するかどうかは・・・難しいところ。

koukokugyokai at 04:25 │Comments(11)TrackBack(3)

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1. マスコミ対策  [ 情報学部へようこそ ]   2007年06月20日 11:53
トヨタがなぜ今でもTVCMの絨毯爆撃をしているのか考えてたのだが、 そこにはやはりある程度の合理性があるのだろうなと思う。 広告β:トヨタがCMをやめない理由とか雑考 マスコミ対策という巨大が合理性なんだ存在すると思うが。 儲かって仕方がない時に、税金払うより広告
2. トヨタの広告を考える  [ あるSEとゲーマーの四方山話 ]   2007年07月09日 15:38
広告β:トヨタがCMをやめない理由とか雑考 トヨタがなぜ今でもTVCMの絨毯爆撃をしているのか考えてたのだが、 そこにはやはりある程度の合理性があるのだろうなと思う。 TVCMをはじめとしたマス広告には不思議??
3. 名古屋嫁入り広告物語  [ 広告なんて大嫌い!!なんちゃって ]   2008年01月17日 00:56
年末年始、そしてお盆の時期と、圧倒的に広告出稿量がアップする業界があります。 それは、ブライダル業界。ようするに、結婚式場の広告です。 東京や大阪での状況は詳しく分かりませんが、名古屋地区においてはその傾向は非常に顕著です。 どうしてこの時期だけ大量にテレ

この記事へのコメント

1. Posted by    2007年06月20日 09:29
電通に聞け
2. Posted by    2007年06月20日 09:29
電通に聞け
3. Posted by      2007年06月20日 11:49
ここら辺も参考に

http://www.authenticbar.com/kqz/days/archives/001281.html
4. Posted by altern8    2007年06月20日 12:30
いつも興味深く呼んでいます。
以前聞いたことがある話で、自動車の購買は奥さんの意思決定が非常に重視されていて、しかも純粋想起で最初の3車種に入っていないとアウトということらしいのです。なのでTVCMが捨てられないということのようでまあ、それはそれで大変ですね。
docomo2.0は…同じくノーコメントで。

5. Posted by      2007年06月21日 02:11
告白の例えが苦しい。
机上の論理で、思考に肉体性が感じられないですね。

>購買ストーリーを一本の線で決めてかかる戦略とか。

周りを見ないのではなく、周りを見せない戦略でしょう。
厚顔なCMが増えているのは、多様化と高齢化で判断力喪失が加速している世相にダイレクトにコミットしたいのだと思いますが。

>TVCMのゾンビ化

CMに限らずTVがWebとの相対化を模索すると、かならず妙な空気が生まれます。成長した子供との距離感がはかれないお父さんのように。

docomo2.0は、うそ寒いでしょう。
5年ぐらい前ならいざ知らず、今の世相にあの楽しさは、場違い。
6. Posted by 著者(広告β)    2007年06月21日 04:52
>3番さん(空白の方)
参考リンクありがとうございます。広告を打つというその行為自体の影響というのも、最近はどうもアレですが、ありますよね。
7. Posted by 著者(広告β)    2007年06月21日 04:53

>altern8さん
コメントありがとうございます。TVCMについての考え方はクライアントにより様々ではありますが、おっしゃるような業界内部調査だったり、実績に基づく推論というのがけっこうあったりするんですよね。もちろん、マス広告の投資効果を冷静に分析するという試みは以前からあったわけでして・・・ですよね。
8. Posted by 著者(広告β)    2007年06月21日 04:53

>5番さん(空白の方)
告白の例えは完全に一致するわけでもないので、そういう意味ではおっしゃるとおりです。戦争に例えるのも的外れなのでとりあえず恋愛もので。
思考に肉体性がないというご指摘は耳に痛いものがありますが、実例を挙げられないのもブログの苦しさではあります。といっても、クライアントにより実例が結構異なってたりしますよね。TVCMの痛いお父さん的状況はしばらく続くのではないかと思うのですが、いろいろ模索するしかなさそうです。
9. Posted by G頑張ろう、N日本の、J人材!     2008年04月18日 15:28
遅れてきたコメント、ご容赦。戦争に例えるのは道義的には宜しくないけれどやっぱり分かりやすいですね。例えば、アメリカがイラクに戦争を仕掛けているぞ!というのはマス広告の役割。町の一つ一つをしらみつぶしに攻撃して反対勢力を潰していくのはネットコンタクトの役割。そんな気づきがありました。
10. Posted by ぶるぼん    2008年07月12日 14:14
はじめまして。いつも楽しく拝見しております。
車のTVCMに関しては販促効果はほとんどなく、購入者へのアフターフォローとして行っていると聞いたことがあります。CMを見て、あぁ俺の買った車はやっぱりいい車だったんだな、と再確認させるためだと。
11. Posted by おくればせ    2008年11月07日 06:03
我が家は キムタクが嫌い過ぎて(笑)2台のトヨタ車を日産に買い替えましたよ。それほどCMキャラクターは重要なんですよ。

トヨタ73%減益予想なのに高額なキムタクをまだ起用継続するのでしょうか? 呑気にバカンスを楽しむキムタクのCMなんて見たくないな〜

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