2007年07月01日

ネットワークと格差社会

格差社会の話はよく目にするのだが、なにがそれを生んでいるのか、
そこでどう生きるべきなのか、どうもハッキリしない気がする。
個々の議論はわかっても、全体として話が一本につながらない印象がある。

こういう話は専門外なのだけれど、個人として他人事ではないので、
自分なりに考えてみてまとめた。ただし、長文。


1.社会がネットワーク化すると乗数的に上昇と下降が起きる

街のレストランを考えるときに、毎日同じ人が来るだけならば
非ネットワーク的であるだろう。単に近いからという理由でお客が来る。
これが、評判というネットワークが広がると、おいしいと思っただれかが
別の人を連れてきて、その人が別の人を・・・と乗数的に人が増える。
グラフにすると直線でなく、ぐぐぐ・・・ぐわっと増える例の曲線だ。
料理が逆にまずかったりすると、ぐわっと下がる羽目になる。

評判というネットワークがさらに広がると、それはネット上の口コミとなる。
ここではレストランもある程度物理的な制限を越え、広い範囲に評判が
ひろがる。これでもって、行列のできるレストランになっていく。
逆にまずいレストランは「まずい」という評判が広がり、さらに負けていく。

2.格差社会というのは、ネットワークがものをいう世界のことである

レストランに限らず、これからいろいろなところでこういうことが増えていく。
伸びる人は直線的ではなく乗数的に伸び、落ちる人は乗数的に落ちる。
勝ち組がより勝ち、負け組は徹底的に負けていくモデルだ。
そしてこれを強烈に後押ししているのがWebであることは多分確かだ。

しかし、ネットワークはWebに限らない。
もうひとつのネットワーク化として、相続があるのではないかと思う。
Webが空間的ネットワークなら、これは時間的ネットワークといってもいい。
戦後60数年が経ち、家系の世代としては2〜3代目になるころだ。
このあたりで相続された資産(有形無形含めて)が、ネットワークを形成し、
それがモノをいうようになってきた、ということもあるのではないだろうか。

例えば最近、私はお金持ち(とその子女)のネットワークを垣間見たのだが、
ネット上に上がってこないそのネットワークは、緊密かつ強力だ。
彼らがあんなふうにつながっていては、庶民は太刀打ちするのも難しいだろう。
まあそれもひとつの格差を作っているのだと思う。

ネットワーク化により、勝ち組が乗数的に伸びて、負け組が落ちていくこと。
これが格差社会と呼ばれるものではないかと思う。

3.格差社会=ネットワークを断ち切れるのは、国家だけである

で、その格差社会みたいなものを、調整できるものはあるだろうか。
これはすなわち、いい具合にネットワークを断ち切るということだ。
思うに、ネットワークを作るのはできても、断ち切るには強制力が必要だ。
となれば暴力装置を合法的に持っているところであって、それは国家だと思う。

たとえば、金持ちの相続(これもひとつのネットワーク)を制御できるのは、国だけだ。
たとえば相続税をものすごく上げるとか、下げるとかいうことである。
他にも、関税を上げて、国際貿易ネットワークを断ち切れるのも国だけだ。

しかしたいていの場合国の決定には政治が絡み、政治に強く絡めるのは
ネットワーク上での勝者なのであって、国が自発的に弱者のためにネットワークを
断ち切るとは考えにくい。ましてやWebについては、無理というものだ。

国家だけがネットワークを断ち切れるが、弱者救済は期待できない。
それが現状の結論である。

4.個人はどう生きるべきなのか

否応なしに色々なことがネットワーク化していき、それがとめられないなら、
個人としてどう生きればいいのか。このあたりは難しい議論だ。
自分がざっと考えてみた結論としては、こんな感じ。

A.ネットワークはとにかく利用する

もし、いま利用できるネットワークがあるのなら、利用しつくす。
家族、友人、Webなど、とにかくつながれるものはつながって、利用し、利用される。
「勝ち馬に乗る!」という本があったが、そのあたりが詳しく書いてある。

B.ネットワークの効いていないところに乗り込む

構造的にネットワークの効いていない業種や分野もまだ、多くあるだろう。
たとえば言語の壁はまだ大きいから、ネットワーク化があまり進んでいない。
業界によっても、ネットワーク化されていないところがたくさんある。
そういうところならば、ネットワーク化による格差社会に巻き込まれないかもしれない。

しかし注意は必要だ。昨日までネットワークが効いていなくても、急にそれが
ネットワーク化されることはある。
無料の完全自動翻訳ができたら、いろいろな人がメシの種を失うかもしれない。
グーグルマップが強力に最適化されたら、地図業者の一定数は職を失うかもしれない。
医療の評判情報が完全にネットワーク化されたら、医者もうかうかしていられなくなる。

C.スモールネットワークで勝負する

ネットワークは基本的に拡大していく。しかし現状小さければ、
新参者でも十分に太刀打ちできるかもしれないし、その中での勝ち組に
なれるかもしれない。そしていったん勝ち組になっておけば、そのあとネットワーク化が
進んでも、乗数的に勝ち組として大きくなれる可能性も広がる。

それ以外にも需要が小さかったり、物理制限が効いていたりして本質的に小さい
ネットワークというのは存在する。快適にそこそこ暮らして生きたいなら、そこである程度
努力をして地位を確立すれば、スモールネットワークの強者となれるかもしれない。



・・・全体として議論が粗いし、どう生きるかのあたりは今後考えるのだけど、
まあとりあえず備忘録として書いてみた。

とりあえずなんとなくわかったこととしては、ネットワーク化は自分の管轄外のところで
進んでいて、それを制御もできず、ただ利用するしかないということだ。
そして、ネットワークを利用するということは、自分も利用されるということである。
そのためには、利用されやすい人になることも重要なのかもしれない。

koukokugyokai at 06:42 │Comments(0)TrackBack(2)

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