2008年12月13日

シンプルのこころ

たとえば飲み会を開くことになったとする。お店選びはどうしよう。攻める必要はないが、失敗は避けたいお店選び。白木屋や和民ではありがちで芸がない、しかしそんなにがんばる必要はない。
なら、際コーポレーショングローバルダイニングが運営している店舗にいけばいい。ある程度の規模があり、安心できる。それでいて、同じ店はそれほどないのでそれなりの希少性を楽しむこともできる。
恵比寿なら、foodscopeジャパンチキンフードサービス。カフェなら、renovation planningあたりを狙えばいい。

運営は同じ会社なのに、名前が違うお店がたくさんある。統一するどころか、違うお店がどんどん増えていく。シンプルじゃなくて、店舗運営はさぞかし面倒だろう。

相変わらずユニクロが好調だ。やっぱり安いことがいいのだろうか。でも、ジーンズメイトだって十分安い。
そういえばユニクロの服には、他の洋服ブランドと比べて柄が少ない。飾りも少ない。シンプルさがよいのだろうか。

シンプルといえば、アップルだ。デザインにおけるシンプルさはアップルの特徴のひとつになっていると思う。でも、なぜシンプルなのだろう。本当にシンプルが偉いなら、競合他社はなぜシンプルにしないんだろう?部長や社長が許してくれないんだろうか?ところで、みんなシンプルになれば解決するんだろうか。

シンプルさってなんだろう。シンプルは大切だって言われる。でも、複雑にして成功していることもある。本当に「シンプルにしろ!」と唱えていればいいのだろうか?シンプルのこころってなんだろう。

そういえば、ユニクロはシンプルだけれど、色はたくさんある。シンプルとだけ言うのなら、白と黒くらいで他にはいらない。なのに、びっくりするくらいのカラーバリエーションがある。
確かにiPodはシンプルだけれど、最近色も形も増えて、必ずしもラインアップはシンプルとはいえない。アップルは間違った方向に進んでいるのだろうか。
誰もが「顧客は多様化している」なんていう。だから、商品も多様化しないといけないと。ユニクロもアップルも、これからどんどん多様化していくのだろうか。

シンプルのこころは、単に要素を減らすということではたぶんない。気持ちよく選べる程度の数にするということだ。お客さんがわからないことなら、ひとつだけ提供する。すでにわかっていることなら、選べるだけ提供する。要は、ものがシンプルなのではなくて、選ぶ側の気持ちがシンプルになるようにするということだ。

お客さんは、服の柄や飾りを選ぶのが難しいと感じている。でも、色だったら好きなものを選べばいい。選ぶ側の気持ちがシンプルになるためには、色を増やすけど柄は増やさない。
iPodは、さすがにみんな知るようになってきた。買うときの色、入れる曲数なら選べる。でも、はじめて操作する人にとっては、ボタンがたくさんあるのは敬遠したい。色とタイプは増やしていいけど、ボタンは増やせない。それがシンプルのこころ。

どこで聞いたか忘れたけれど、iPodのスクロールホイールは、学習効果を期待しているらしい。見慣れない形だが、さわっている間にユーザーが学習すると。
とはいえ世の中には、見慣れない、見た目によくわからないインタフェースがたくさんある。後付けの理屈でないとすれば、スクロールホイールだけなぜ「ユーザーが学習する」と言い切れるのだろうか。おそらくポイントは、一度にやることはシンプルで、シンプルな操作を重ねながら学習できるところにある。

スーパーマリオで感動した話。ゲームが始まると、マリオは左端にいる。だから右に行くしかない。右に行くとクリボーが寄ってくる。そして頭上にブロックがある。飛ぶしかない。これも、一つ一つのシンプルな動作を重ねていくことで、ユーザーが学習できる設計になっている。シンプルから、複雑へ渡る橋が用意されている。

わかっていることなら、選べるだけ提供する。わからないことなら、ひとつだけ提供する。ひとつだけ選んでもらったら、またひとつ、選んでもらう。その組み合わせで、学習してもらう。結果、複雑にならざるを得ないとしても、一度にやることはひとつだけ。ユーザーも市場も、最初はわからない、選べないけれど、ひとつひとつ学習する。

わからない、わかっている、わかるようになる。それを見据えた上で、色も、操作も増やしていく。選ぶ側の気持ちがシンプルになるように。
シンプルのこころは潔さでもストイックさでも、美しさでもない、やさしさにあるのかもしれない。

koukokugyokai at 04:31 │Comments(3)TrackBack(3)

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1. Links for 2008/12/13  [ yuatetsu.in ]   2008年12月14日 12:36
雨はヤですね??。今日出かけるのにナ??。昨日のブックマーク抜粋[ yuatetsu's BookMark ]ひろゆき氏に聞くニコニコ動画のこれから「動画のiTunesに」「見通しは明るい」   [満足している人がお金を払ってサイトが回るという構造にしてかないと]   [景気が悪くな...
2. 広告β。  [ アドマン2.0@デキる広告マンの作り方 ]   2008年12月15日 09:41
先ほどGoogleReaderを見ていたら・・・広告β さんがブログを約3ヶ月ぶりに更新しているではないか!!更新された「シンプルのこころ 」という記事には、既に100を超えるはてブがされており、やはりこの人のブログはすごいなぁ??と思う。 早速印刷して読も
3. 『シンプルのなぜ』  [ 楽天を辞めて地域振興ビジネスマーケットを創出する!hattandaのブログ ]   2008年12月15日 10:17
広告β  さんの シンプルのこころ  にトラックバック。 非常に勉強になるエントリです。 先ほどの私のエントリに続く今年の2番目かもしれない。 普遍的な要素を頂きました。 ブログって勉強になるなぁw

この記事へのコメント

1. Posted by 月花星(a sa no)    2008年12月15日 22:47
5 機能美という考え方が好きです。
工具とか、馴染みのない方にとっては、無骨なものに見えても、使いやすい道具は、育ってきたカタチそのものが美しく見える。
でもそれだけでは、専門的すぎる。
なら、ちょっと色なんか付けておしゃれにしてみようか・・・。
そうして「シンプル」が生まれるのではないかと思います。
シンプルなようで、でもなんか違うデザインも多いですよね。
手に取ると、なんかこう似非くせぇ・・・
何かが足りない・・・。

シンプルだけでは、ダメなんでしょう。広告的に。
それに驚き・・・シンプルなのに!?みたいなものがおしゃれなんでしょう・・・かね?

考えるきっかけをいつもありがとうございます。
2. Posted by 広告β    2008年12月18日 04:19
月花星(a sa no) さん、
道具って、見ていて楽しいですけど、あくまで道具ですよね。だから、使う人の創造力を殺してしまいたくないなあと思います。
だとしたら、創造力を吸い取り過ぎちゃうほど、情報がない方がいい。ぎりぎり足りないくらいの方が、持つ人の創造力を発揮できるのではないかなあと思いますし、使いこなしている気分になれるのではないかと思っています。
シンプルってほんと難しいですが、手抜きはやっぱり違うんですよね。それは不足。言うのは簡単ですが現実は・・・ですね。
広告も・・いまはとにかく、煽ってまくしたてますが、ちょっと聞き足りないくらいのほうが、広告としては力があると思います。
3. Posted by mogu-girl    2008年12月19日 16:22
こんにちは。いつも読ませていただいてます。
マリオの話、私も聞いたことがあります。
GTInc.の内山さんの講演に行ったときにおっしゃっていたのですが、
マリオは説明書がなくても誰もがどうすればいいのか分かるように設計されていて、1面をクリアすれば最終ボスまで倒せるすべてのスキルが自然と身につくように中身がデザインされている、と。
誰もが心地良いと思えるシンプルさって、裏側には死ぬほど複雑に考え抜かれた軌跡があっての、シンプルさなんでしょうね。

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